野性動物Q&A

Q.野生動物を見たり、触れ合うことができるところはあるの? そのときに注意することは?

A.野生動物にとって、「かわいい!」は迷惑

最初に思い浮かべるのは動物園ですが、近くの公園でも多くの野鳥や昆虫類を見つけることができます。でも、家畜やペット以外は人間との接触を好む動物はいませんから、勝手に「かわいい!」と言って触ろうとするのは迷惑にしかなりません。野生動物との「距離のとり方」が大切です。エサをやると寄ってきますが、エサ付けがその動物にとっていいことかどうかは疑問です。むしろ、距離を置いて仕草や様子を観察する方法を身に付けるといいですね。

Q.日本には野生動物を保護する法律はあるの?

A.鳥獣保護法という法律があります

むやみに野生動物を殺すことはできません。『鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律』(鳥獣保護法)という法律があるからです。狩猟の場合もこの鳥獣保護法の範囲内で、方法と時期を決められています。でも農家にとって死活問題でもある「獣害」対策として、行政の許可を取って鳥獣保護法の規制外で、『有害鳥獣駆除』としてシカ、猪、猿、クマなどを捕殺することは各地で行われています。

Q.けがや病気の野生動物を見つけたらどうすればいいの?

A.手を出すと危険な場合も

保護しようと思っても噛まれたりする危険を感じたら手を出さず、役場や獣医師に連絡してください。幼鳥の場合は巣立ちの練習中の場合が多いので、車道などで見つけた場合以外は手を指す必要はありません。自宅で治療しても回復後は自然界に放してあげましょう。

Q.野生動物を飼うことができるの?

A.勝手に飼うことはできません

野生の鳥獣は原則として個人が飼育できません。たとえ、弱った小鳥を保護したとしても、それは役場に届け出て、自然に帰す措置をします。人間が少なくとも数千年の時間をかけて飼いならし、さまざまな役割を与えた動物種は『家畜』と呼ばれて、ペットもこの中に含まれます。しかし、最近話題になる爬虫類や猿、フィレットなどの哺乳類などはペットではなく、動物保護法の未整備な海外の自然界から捕獲されて輸入販売されている野生動物で、人間の暮らす環境とはおよそかけ離れた生態をもつ生き物たちです。どんなにかわいがってもその動物は自然から引き離された囚われの身であり、幸せとはいえません。カブトムシのような昆虫と同じように気軽に採取し、飼育するという対象ではないのです。

Q.野生動物にエサをあげてもいいの?

A.エサをやらないのが基本です

野生というのは人間の保護(干渉)を受けずに生きている動物です。ですから本来であれば人間がエサ付けすることで野生の性質を失ったり、過度に人間社会に慣れて事故を起こしたりする危険もあります。なので、基本的にはエサをやらないというのがいい対応です。でも例外的に事故にあった動物や保護すべき幼獣、あるいは冬季に飢えて死線をさまよっているような状況の野生動物に出会ったらどうするか。これは答えが出ない問題です。弱った個体は淘汰されるしかないというのも野生の掟ですが、自分が救える状況であれば見捨てられるか、なかなか答えられません。

Q.野生動物も食べ物の好物があるの?

A.あなたと同じように“好み”があります。

もちろんそれ以前に、肉食や草食、雑食などの基本的な食性もありますね。でも肉食のネコ科の動物や犬なども草を食べることは知られているし、草食動物が他の動物を食べたという報告もありますから、食性というのも、“主に”と言った方がいいでしょう。さて、好みですが、蛇とねずみとか、クマと蜂蜜という以外に、肉食動物が必須の栄養を摂るために草食獣の内臓から食べることもよく知られています。

Q.都会にすむ野生動物もいるの?

A.ハクビシンやアナグマもいます

大都会のド真ん中にもドブネズミはいますし、哺乳類も数多く棲息しています。でも彼らは人間の活動時間帯を避けて夜間行動するために人の目にはあまり触れません。もともと都会はさまざまな動物の棲む場所でしたが、人間が幅を利かせている現在、よく残っているねと言いたいほどですね。TVで騒ぎになる猿とかハクビシン、アナグマなども比較的、都内には出没する種類ですが、人間しかいないと勝手に思い込んで騒いでいるマスコミの報道が異常なのです。

Q.野生動物は眠れるの?

A.もちろん眠ります

眠らないと言われるサメも呼吸のために泳ぎながら眠ります。でも、野生の世界は弱肉強食。のんびり眠っていては、いつ天敵に襲われるか知れません。だから一般的には浅い眠りですぐ動けるようにしています。

Q.野生動物は病気になるの?

A.病気になりますが、お医者さんがいません

野生動物でも当然、病気にかかります。野生の世界では医者がいないので、自分の生命力の強さは人間以上ですが、ある程度の段階を過ぎると死んでしまいます。最近話題になる「鳥インフルエンザ」や「口蹄疫」、「ツボカビ病」なども家畜から野生動物に感染するルートが通常で、病原菌が強力になって地域的にその種が絶滅するほどの恐るべき事態を招くこともあります。みんな野生だったらこれほど怖い病気にはならなかったとも考えられます。

Q.野生動物は虫歯になるの?

A.ペットの虫歯にご用心

野生動物には本来、虫歯菌がないので、虫歯はできないと言われていますが、動物園や家畜化された動物は、ペットフードなどによって虫歯ができます。可愛いペットの歯も時々チェックしてください。

Q.野生動物は自殺するの?

A.死期が近づくと群れを離れることがあります

野生動物は生存を続けることがやっとの状態で生きていますが、時には同属の仲間の共食いや、親が子に食われる種や死期を悟った個体が群れを離れる行動があります。これらは自殺とは違う意味ですが、野生の本能では、個体の生存が最優先ではないということがわかります。でも、自分たちの遺伝子を保存するのが人間を含めたすべての生き物の使命であることはたしかです。

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